Last Updated on 2025年12月3日 by 受験おじさん
今回は、受験勉強において「紙のテキストを使うべきか」「電子テキストを使うべきか」というテーマでお話ししたいと思います。
これはテキストに限らず、辞書や単語帳にも共通する問題です。
私は大学入学から20年以上が経ちますが、その間に学び方の環境は大きく変わりました。
今やスマホ一つで辞書も参考書も完結する時代です。
しかし、そんな便利な時代だからこそ、私はあえて「紙」を強くおすすめしたいと思っています。
電子辞書が主流だった時代を経験して
私が大学に入学したのは、いまから約20年前。
ちょうど電子辞書が一気に普及した時代でした。
電子辞書のメリットは明快です。
何冊もある分厚い辞書を持ち歩く必要がなく、英和も和英も広辞苑も一台にまとまっている。
荷物は軽くなり、調べたい単語も一瞬で検索できる。まさに「効率的な勉強」の象徴のように感じられました。
しかし、私はそこで一つの違和感を覚えました。
確かに電子辞書は便利ですが、「覚えた気にはなるけれど、身についていない」感覚があったのです。
紙の辞書でしか得られない“立体的な記憶”
一方で、私が受験生だった頃は、毎日紙の辞書を使っていました。
英語では英和・英英辞書を使い分け、国語では広辞苑を開いて調べました。
ページをめくるたびに、指の感覚や紙の厚み、単語の配置までが自然と記憶に残る。
たとえば「この単語は確かあのページの左上にあったな」と、ページ全体の“風景”で思い出すことができる。
これは電子辞書では決して得られない感覚です。
私はこれを立体的な記憶と呼んでいます。
文字だけでなく、紙の質感・ページの位置・書き込みの跡といった複合的な情報が結びついて記憶されるのです。
記憶の定着率は「紙」が圧倒的に高い
この立体的な記憶があることで、記憶の定着が圧倒的に早く、深くなります。
電子辞書で同じ単語を100回調べるよりも、紙の辞書で10回調べた方がはるかに覚えられるのです。
なぜなら、電子画面上では“どこに載っていたか”という文脈が消えてしまうからです。
辞書を引くたびに、手の動きやページの位置情報が脳の中でリンクしていく。
これが繰り返されることで、「頭の中で辞書をめくるように思い出す」状態になるのです。
実際、私自身が受験期に必死で辞書を使っていた頃は、テスト中に頭の中でページを開くようにして単語の意味が自然と浮かび上がってきました。
これが“本当に身についた”状態です。
電子テキストの落とし穴
もちろん、電子テキストには利点もあります。
スマホやタブレットでどこでも勉強できるし、検索性も高い。メモ機能やハイライトもあります。
ただし、それらは「情報を整理する」には適していても、「知識を自分の血肉にする」には不向きです。
特に受験勉強のように、何度も同じ範囲を繰り返す学習では、ページの感覚や“その場所”の記憶が非常に大きな役割を果たします。
電子画面ではページの「位置感覚」がリセットされてしまうため、何度繰り返しても脳が“どこにあったか”を覚えられないのです。
「書き込み」と「印」が生む思考の軌跡
紙のテキストのもう一つの強みは、書き込みや印を通じて自分の思考が可視化されることです。
私は基本的にノートを作らない派でしたが、辞書にはたくさん印をつけていました。
なぜなら、その印こそが自分の弱点を示してくれるからです。
電子辞書でも単語リストやメモ機能はありますが、それらはどうしても“平面的”になります。
過去に自分がつけた印を見返したとき、「ああ、この頃はこの単語に苦労していたな」と感じられるのは紙ならではの経験です。
これは、勉強の「積み重ね」を体感する上でも非常に大切な要素です。
結論:何度も使う教材こそ紙でそろえる
もちろん、問題集や過去問演習など、一度解いたら終わりの教材は電子でも構わないと思います。
ですが、何度も見返すテキストや辞書、単語帳は、できる限り紙にすべきです。
紙の重みや書き込みの跡が、そのまま自分の努力の証になります。
私は大学に入ってから電子辞書を使い始めましたが、結局、受験期に使っていた紙の辞書の方が圧倒的に記憶に残っています。
あの頃に引いたページの端の折り目や鉛筆の跡まで、いまでも鮮明に覚えているほどです。
受験勉強は「いかに短期間で効率よく覚えるか」という勝負でもありますが、“効率”の本質は速さではなく、定着の深さにあります。
立体的に記憶を刻み、知識を自分の一部にしていく。そのための最良のツールは、いまも昔も「紙」なのです。
私が愛用した「紙の辞書」たち
最後に、私が受験生時代にボロボロになるまで使い込み、今でも「あの重みが知識になった」と確信している辞書たちを紹介します。
電子辞書も便利ですが、机の上にこの厚みがあるだけで、勉強に向かうスイッチが入ります。
思考の土台を作る「広辞苑」
現代文の成績を上げる近道は、言葉の定義を曖昧にしないことです。
ネット検索の浅い知識ではなく、信頼できる定義を「引く」癖をつけるなら、やはり広辞苑が最強です。
パラパラとめくっているだけで新しい言葉に出会えるのも、紙ならではの楽しみです。
受験英語のバイブル「ジーニアス」
和英・英和といえばジーニアス。単語の意味だけでなく、語法やコロケーション(語の結びつき)の解説が非常に詳しいため、英作文や文法問題で差がつきます。
「この単語はページの右下にあったな」と記憶できるまで使い倒してください。
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